デジタル遺産の生前対策をするべき3つの理由

①スムーズな相続を
行うことができる
デジタル遺産を生前整理しておけば、相続人は財産を把握できるので、遺産分割協議がスムーズに行えます。相続税を期限内に申告できるばかりか、申告漏れも防止できます。後から相続が発覚したときの追徴課税の心配もありません。

②無駄なお金が
かからない
動画配信サービスや音楽配信サービスなど、定期有料サービスの支払い停止ができます。また、銀行口座やクレジットカードなど、毎月自動で引き落としされているケースも同様です。事前に把握しておくことで、無駄な出費を抑えることができます。

③データの流出を
防ぐことができる
デジタル遺産の中には個人的な情報だけでなく、会社に関わるデータもデジタル機器に保存されているケースがあります。事前に把握しておけば、こうした一連のデータの流失や紛失、消去なども防ぐことができます。
デジタル遺産の生前対策
対策1. 生前整理

デジタル遺産生前整理の重要性
デジタル遺産は主にオンラインでの管理となるため、本人が家族に伝えない限り、相続する側が見つけ出すことは難しいです。だからこそ、ご本人が元気なうちに、デジタル遺産に関わる情報を整理しておくことが重要と言えます。
生前整理のポイント

Point 1
有料契約の見直し
利用している定期有料サービスを随時見直し、不要なものは解約しておく。

Point 2
保管場所をまとめる
デジタル遺産に関わる情報を紙にリストアップし、預金通帳と一緒に保管しておく。

Point 3
家族との共有
必要な各種サービスや金融情報は、スマートフォンで一括管理する。ロック解除キーを家族で共有する。
対策2. エンディングノートの作成

エンディングノートとは?
もしものときに備え、本人に関わるさまざまな情報、家族に伝えておきたいことを記すエンディングノートを準備します。いまや終活の一部として広く知れ渡っています。このエンディングノートを使い、デジタル遺産に関わる情報を残すのも方法の一つです。
エンディングノート作成のポイント

Point 1
パスワード保護
手書きのエンディングノートの中に、デジタル遺産の目録を作成しておく。パスワードなどは保護シールなどで隠す。

Point 2
保管場所をまとめる
エンディングノートは、ご家族が必ず見ることができる場所に保管します。手書きのノートを金庫や書類ケースなどの安全な場所に保管し、ご家族に場所を伝えておくことが大切です。

Point 3
家族との共有
エンディングノートは紙に手書きで作成するのが最善です。ご本人亡き後、ご家族がデジタル機器にアクセスできない可能性があるためです。
対策3. 遺言書の作成

遺言書を作成する重要性
デジタル遺産に関わる情報を残すだけなら、エンディングノートは有効手段と言えます。ただ、法的な効力がないため、書かれた内容に遺族が従う義務はありません。もし、相続時の親族間のトラブルを防ぎたいのであれば、正式な遺言書を作成することをおすすめします。
遺言書作成のポイント

Point 1
財産目録の作成
どのような財産があるのか、資産や負債も含めた財産目録をつけることで、全財産を把握することが可能になります。

Point 2
相続人の明確化
誰にどの遺産を相続させるのか、明確に書きます。曖昧な内容は、トラブルのもとになるので注意が必要です。

Point 3
遺言執行者の指定
遺言内容をスムーズに実現するために、遺言書で遺言執行者を指定することが必要です。その場合、弁護士などの専門家を指定するのがおすすめです。
対策4. 死後事務委任契約の締結

死後事務委任契約とは?
死後事務委任契約とは、亡くなった後の葬儀や役所への手続など、必要な事務手続を生前に第三者へ委任する契約です。本人(委任者)が生存中に死亡後の手続に関する代理権を第三者(個人や法人など)に委任することで成立し、法的拘束力が発生します。
死後事務委任契約の主な内容
法事関係:通夜、告別式、納骨、埋葬、永代供養の手続
行政関係:死亡届、年金受給停止、埋葬料や葬祭料の申請
ライフライン関係:電気代やガス代などの公共料金の解約・精算
医療関係:医療費、入院費の精算
住居関係:家賃や管理費の精算、老人ホームなどの退去手続
財産関係:相続財産清算人の選任、遺品の整理・処分
デジタル遺品関係:デジタル機器のデータ消去、デジタルサービス解約、SNSアカウント削除
その他:親族・関係者への連絡など
死後事務委任契約のポイント

Point 1
意思能力が求められる
死後事務委任契約を締結するには、委任者に意思能力が必要です。認知症などで意思能力がないと判断された場合、契約は無効となります。早めの契約締結が重要です。

Point 2
委任できない死後事務がある
銀行口座の解約や不動産の処分など、一部の死後事務は委任できません。これらは遺言書で対応する必要があります。死後事務委任契約と遺言書を併用することで、より確実に意向を実現できます。

Point 3
相続人との摩擦を防ぐ
相続人がいる場合、死後事務委任契約の内容によっては、相続人との間で摩擦が生じる可能性があります。契約内容について、事前に相続人と話し合っておくことが大切です。